親が住んでいた実家を引き払う「実家じまい」。いざ動き出すと、家財道具の処分だけで数十万円、解体まで含めると百万円単位のお金が飛んでいきます。
ところが実は、広島県内の多くの市町には「家財道具の処分費用」を補助してくれる制度があります。さらに解体費の補助や、売却時に税金が最大3,000万円分軽くなる特例まで用意されています。知らずに全額自己負担で終える方が、本当に多いのです。
この記事では、実家じまいの補助金・支援制度を「家財処分」「解体」「税の特例」の3つに整理し、広島県内で実際に使える制度と申請の順番、そして多くの人が引っかかる落とし穴まで具体的に解説します。
結論:実家じまいの補助金は大きく3種類
最初に全体像をお伝えします。実家じまいの補助金として使える公的な支援は、次の3種類に分かれます。
| 種類 | 何に使えるか | 金額の目安 |
|---|---|---|
| ①家財道具の処分補助 | 家の中の家具・家電・日用品の処分費 | 上限5万〜20万円(市町による) |
| ②解体(除却)の補助 | 老朽化して危険な空き家の取り壊し費 | 上限50万円程度 |
| ③相続空き家の3,000万円特別控除 | 売ったときの税金(譲渡所得) | 最高3,000万円の控除 |
このうち遺品整理・片付けに直接効くのが①です。そして金額のインパクトがいちばん大きいのが③になります。順に見ていきましょう。
①家財道具の処分に使える実家じまいの補助金【広島県内の市町一覧】
実家じまいで最初にぶつかる壁が、家の中に残された大量の家財道具です。タンス、仏壇、布団、食器、衣類、写真、思い出の品。これを全部片付けるだけで、一戸建てなら20万〜60万円ほどかかることも珍しくありません。
広島県が公表している「県内市町における空き家関係補助事業一覧」によると、県内の複数の市町で、この家財道具の処分費用に対する補助制度が用意されています。
| 市町 | 制度名 | 上限額 | 補助率 |
|---|---|---|---|
| 呉市 | 空き家家財道具等処分支援事業 | 10万円 | 1/2 |
| 竹原市 | 空き家家財道具等処分支援事業 | 10万円 | 1/2 |
| 尾道市 | 空き家家財道具等処分支援事業 | 20万円 | 1/2 |
| 庄原市 | 空き家家財道具等処分支援補助金 | 10万円 | 10/10(全額) |
| 東広島市 | 空家住宅等家財撤去支援事業 | 10〜15万円 | 1/1(全額) |
| 江田島市 | 空き家家財等処分補助 | 5万円 | 1/2 |
| 安芸太田町 | 空き家バンク家財等処分補助金 | 15万円 | 2/3 |
| 三原市 | 空き家改修等支援事業補助金 | 20万円(中山間)/5万円(その他) | 2/3〜1/2 |
| 廿日市市 | 空き家活用支援補助金 | 20万円 | 1/2 |
| 坂町 | 空き家改修等支援事業 | 30万円 | 1/2 |
注目していただきたいのが庄原市と東広島市です。補助率が「10/10」「1/1」、つまり上限額までなら全額が補助される設計になっています。実家が該当エリアにあるなら、確認しない手はありません。
実家じまいの補助金で、いちばん多い勘違い
ここが本記事でもっともお伝えしたい部分です。
これらの家財処分の補助金は、「ただ片付けたいだけ」では使えないことがほとんどです。
たとえば呉市の「空き家家財道具等処分支援事業」の場合、補助を受けるには次の条件があります。
- 補助率1/2・上限10万円
- 交付決定を受けたあと、市の空き家バンクに登録するか、宅地建物取引業者と媒介契約を結ぶこと
- 市税を滞納していないこと
- 暴力団員でないこと
つまりこの制度は、「空き家を放置せず、売るか貸すかして活用してくださいね」という自治体側の狙いとセットになっています。片付けて終わり、そのまま空き家として持ち続ける——という使い方は想定されていないのです。
逆に言えば、実家じまい=実家を手放す(売る・貸す)ことを決めている方にとっては、この条件はそのまま当てはまります。だからこそ実家じまいと補助金は相性が良いのです。
もう一つの落とし穴:先に片付けると対象外になる
実家じまいの補助金には「着手前の申請が原則」という共通ルールがあります。業者を呼んで片付けを済ませてから申請しても、ほぼ通りません。
実家じまいは「気持ちが動いたときに一気に片付けたい」ものですが、補助金を使うなら、必ず片付け前に役所へ相談してください。ここを逆にしてしまい、数万円〜十数万円を取り逃す方が本当に多いところです。

②解体・除却に使える実家じまいの補助金(広島市は上限50万円)
家財を片付けたあと、建物自体をどうするかという問題が残ります。老朽化が進んで倒壊の危険がある場合、解体費用の補助を受けられることがあります。
広島市の「老朽危険空家等除却補助制度」は次のような内容です。
- 対象:広島市内の戸建住宅(長屋・店舗等併用住宅を含む)で、腐朽・破損の程度が市の基準以上であり、道路に近接するなど通行人へ危険が及ぶ可能性が高いもの
- 補助額:国が定める標準除却費(木造33,000円/平方メートル・非木造47,000円/平方メートル)×延べ面積×8/10 のうち、いずれか低い額
- 上限:50万円
- 問い合わせ:広島市都市整備局指導部建築指導課(082-504-2288)
ポイントは「危険な状態であること」が条件だという点です。まだしっかりしている建物は対象になりません。「古いから」ではなく「危ないから」補助する制度だと理解しておくと、窓口での話が早くなります。
呉市にも同様の危険建物除却の助成制度があります。お住まいの市町の建築指導担当課に問い合わせてみてください。
③相続した実家を売るなら「3,000万円特別控除」を必ず確認
補助金ではありませんが、金額のインパクトがもっとも大きいのがこの税の特例です。
国税庁の「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」を使うと、売却で出た利益(譲渡所得)から最高3,000万円を差し引けるため、税額が大きく変わります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 控除額 | 最高3,000万円(令和6年1月1日以後の譲渡で相続人が3人以上の場合は2,000万円) |
| 適用期限 | 平成28年4月1日〜令和9年12月31日までの譲渡 |
| 建築時期 | 昭和56年5月31日以前に建築されたもの |
| 売却期限 | 相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで |
| 建物の状態 | 一定の耐震基準を満たすか、取り壊して売ること |
| 売却代金 | 1億円以下 |
特に見落としやすいのが「相続開始から3年」の期限です。遺品整理を先送りしているうちに期限が過ぎてしまうケースがあります。実家じまいを考え始めた時点で、まずこの日付だけは確認しておいてください。
また相続人が3人以上だと控除額が2,000万円に下がる点、令和9年12月31日で適用期限を迎える点も重要です。判断に迷う場合は税務署か税理士に相談するのが確実です。
実家じまいの補助金を使う手順
順番を間違えると使えなくなるので、流れで押さえておきましょう。
- 実家のある市町の窓口に相談する(住宅政策課・建築指導課など)。片付けを始める前に行うのが鉄則です。
- 制度の対象になるか確認する。空き家バンク登録や媒介契約が条件かどうかをここで聞きます。
- 見積もりを取る。補助金の申請には業者の見積書が必要になるのが一般的です。
- 申請して交付決定を待つ。決定前に作業を始めないでください。
- 片付け・解体を実施する。領収書と作業前後の写真は必ず残します。
- 実績報告を提出し、補助金を受け取る。
年度ごとに予算枠が決まっているため、年度後半は「予算に達したので今年度は終了」となることもあります。動くなら早い方が有利です。
補助金が使えないときにできること
条件に当てはまらない、あるいは予算が終了していた——そんな場合でも、費用を抑える方法はあります。
- 買取に対応した業者を選ぶ:家電・骨董・貴金属など値がつくものを処分費と相殺できます
- 相見積もりを取る:同じ物量でも業者によって数十万円の差が出ることがあります
- 自分で運べるものは自治体の処分場へ:搬出量が減るほど費用は下がります
- 繁忙期(3月・年末)を避ける:時期をずらすと単価が下がることがあります
具体的な手順は広島で遺品整理を安くする方法|費用を抑える6つのコツで詳しく解説しています。
よくある質問
Q. 実家じまいの補助金は誰でも申請できますか?
A. いいえ。多くの制度で「空き家バンクへの登録」や「宅地建物取引業者との媒介契約」といった活用の条件が付いています。また市税の滞納がないことも要件になるのが一般的です。まずは市町の窓口で対象になるか確認してください。
Q. 先に片付けてしまいました。あとから申請できますか?
A. 原則できません。補助金は「交付決定後に着手する」のがルールです。これから片付ける分があるなら、その時点で相談してください。
Q. 家財処分の補助と解体の補助は両方使えますか?
A. 制度が別なので併用できる場合がありますが、自治体によって扱いが異なります。両方を検討していることを最初に窓口で伝えるのが確実です。
Q. 広島市に家財処分の補助はありますか?
A. 広島市は老朽危険空家等の除却(解体)補助が中心です。家財処分の支援は呉市・尾道市・東広島市・庄原市など県内の他市町で用意されています。実家の所在地で確認してください。
Q. 実家じまいの補助金の金額や条件は変わりますか?
A. 変わります。制度は年度ごとに見直され、予算枠に達すると受付が終了します。本記事の内容は2026年8月時点で公表されている情報をもとにしています。申請前に必ず各自治体の公式ページ・窓口で最新情報をご確認ください。
まとめ
実家じまいの補助金として使える制度を、もう一度整理します。
- 家財道具の処分:広島県内の複数市町に補助あり。尾道市20万円、庄原市は全額補助など。ただし「売る・貸す」が条件になることが多い
- 解体(除却):広島市は上限50万円。「古い」ではなく「危険」が条件
- 税の特例:相続空き家の3,000万円特別控除。相続から3年の期限と令和9年末の適用期限に注意
そしてもっとも大切なのは、片付けを始める前に役所へ相談することです。順番を逆にするだけで、使えたはずの十数万円が消えてしまいます。
制度の確認と並行して、実際にいくらかかるのかの相場観も持っておくと判断がしやすくなります。遺品整理の費用相場【広島】一軒家・マンション別もあわせてご覧ください。
関連記事
- 【2026年最新】広島の遺品整理業者おすすめ比較7選!費用・口コミ
- 遺品整理の費用相場【広島】一軒家・マンション別
- 遺品整理の費用を安くする5つの方法【広島編】
- 遺品整理の手順とやることリスト|何から始める?
- 遺品整理で出た不用品の処分と買取方法【広島編】
- 墓じまい 広島の費用と手続き|補助金と市営墓地・5万円【2026年最新】
参考にした公式情報
- 広島県「県内市町における空き家関係補助事業一覧」
- 呉市「呉市空き家家財道具等処分支援事業」
- 広島市「老朽危険空家等除却補助制度」
- 国税庁 No.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
※本記事は2026年8月27日時点で各自治体・国税庁が公表している情報をもとに作成しています。制度の内容・金額・期限は変更される場合があります。申請前に必ず公式情報をご確認ください。

